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忙しさの中でも“コーヒーを味わう時間”を取り戻すために
コーヒーをゆっくり飲む――そんなささやかな時間が、いつの間にか日々の慌ただしさに押し流されてしまうことはありませんか。気がつけば「ながら飲み」ばかりで、味や香りをじっくり感じる瞬間が減っていく。私自身も、そんな状態が続いていました。
そこで思い立ったのが、「コーヒーをゆっくり飲むために、逆に何を手放すべきか」を考えること。何かを“始める”より、“やめる”ほうが心のスペースが生まれやすいと感じたからです。
この記事では、私が実際に手放してみて、コーヒーの時間が穏やかに戻ってきた習慣を紹介します。忙しい日常でも、ほんの少しの工夫で「コーヒーを飲む」という行為そのものが、豊かな時間に変わっていきます。
1. 朝からスマホを開く習慣をやめた
朝起きると同時にスマホをチェックするのが習慣になっていた頃は、気づけばニュースやSNSに気持ちを引っ張られ、コーヒーの香りを味わう余裕がありませんでした。情報が一気に飛び込んでくると、頭の中が“ざわつく”感覚が生まれます。
そこで試したのが、「コーヒーを淹れるまではスマホを触らない」というルール。最初は落ち着かないものの、慣れてくるとスマホを触らない時間が逆に心地よく感じられるようになりました。
スマホを遠ざけるだけで、豆を挽く音や湯を注ぐときの香りに意識が向き、コーヒーの時間が五感を使うひとときに変わっていきます。
2. “ながら飲み”をやめた
メールを書きながら、作業しながら、テレビを見ながら…。現代人のコーヒー時間は、いつの間にか「ながら」の中に組み込まれがちです。私もその一人で、気づけば飲み終わっているのに、味をほとんど覚えていないこともよくありました。
そんなときに気づいたのが、「ながら飲みをしていると、コーヒー自体を楽しむ余裕がなくなる」ということ。思い切って“飲むときは飲むだけ”と決めてみると、たった数分でも深く味わえるようになりました。
香りの変化や温度の移り変わり、口当たりの違いなど、自分の中に感じ取れるものが増え、コーヒーを飲む時間そのものが小さなリセット時間になります。
3. 常に完璧な空間を保とうとすることをやめた
コーヒーをゆっくり飲むには、整った部屋が必要だと思い込んでいました。「片づけなきゃ」と気が急いて、落ち着いて飲むどころではないことも多かったのです。
しかし、完璧な部屋でなくても、ほんの一角を“落ち着けるスペース”として確保すれば十分でした。例えばお気に入りの椅子とサイドテーブルだけ整えておく。お気に入りのマグを置くスペースを空ける。それだけで不思議と心がほぐれます。
“完璧さ”を求めることをやめると、コーヒーの時間がぐっと身近なものに。部屋全体が散らかっていても、ひと息つく場所があるだけで、コーヒーの味わいは変わります。
4. 無理に新しい豆を試し続けることをやめた
コーヒー好きなら、つい新しい豆や焙煎を試したくなるもの。私もいろんな種類を買っては、次々と開けるというループに陥っていました。結果、味を落ち着いて楽しむ前に次の豆を試したくなり、本当の意味で“味わう”時間が薄れていったのです。
そこで「お気に入りの豆を一本の柱にする」ことを意識するようにしました。もちろん新しい豆を試す楽しさは残しますが、頻度は少し控えめに。そのおかげで、いつもの味の安心感と、新しい味のワクワクをバランスよく楽しめるようになりました。
“試し続けること”をやめると、コーヒーの味との向き合い方に余裕が生まれます。
5. 一度にやることを詰め込みすぎるのをやめた
家事、仕事、趣味、連絡…。あれもこれも同時にこなそうとすると、心が常に急ぎ足になりがちです。そんな状態でコーヒーを飲んでも、どこか落ち着かず、せっかくのひとときが薄れてしまいます。
それを避けるために、「コーヒーを飲む時だけは予定を挟まない」ことを決めました。たった5分でも、他の用事をいったん棚上げするだけで、コーヒーの時間がぐっと心に染み込むようになります。
予定を詰め込みすぎるのをやめることで、余白が生まれ、その余白にコーヒーの香りがやさしく広がっていきます。
コーヒー時間が、生活を整える小さな支点になる
「やめること」を意識すると、日常に小さな余白が生まれます。その余白が、コーヒーの香りや温度、味わいをしっかり感じ取るための大切なスペースになっていきます。
ゆっくりコーヒーを飲む時間は、特別な贅沢ではありません。けれど、その時間があるだけで、生活のテンポが少し柔らかくなる。忙しさに追われがちな毎日の中でも、コーヒーを飲む行為が「自分を取り戻す瞬間」になっていくのです。
少し立ち止まりたいとき、何かを足すよりも「一つやめてみる」。そんなシンプルな選択が、コーヒーをもっとおいしく、もっと穏やかな時間へと導いてくれます。
最後に：コーヒーを味わう時間を、自分に許可する
“やめたこと”は、決して制限ではなく、自分に優しくするための選択でした。コーヒーの時間は、日常の中にそっと置いておける、小さな心の休憩ポイント。
忙しくても、ほんの3分でも、自分のためにカップを手に取る。そんな時間が積み重なることで、生活が少しずつ整い、心もゆっくりとほぐれていきます。
あなたのコーヒー時間が、今日も穏やかでありますように。
